GioLine pro と Jw_cad 間で座標データを共有する際の留意点について説明します
仕様の違い
- Jw_cad :基本的に座標の概念がありません
ユーザーは用紙サイズと縮尺を設定した後、座標値を意識せずに作図作業を行うことができますが、基本的な作図領域は用紙サイズに制限され、内部座標の範囲も用紙の中心を(0,0)とし、用紙の縦横サイズと縮尺で規定されます。
なお、内部座標の座標軸は、用紙の横方向がX軸となる数学座標系です。
A1サイズで、余白を20mmとすると、作図範囲は801mm×554mm です。
縮尺 1/500 で作図すると、801mm×500=400.5m、554mm×500=277m になるので、縦 277m、横 400.5m の範囲を図化できます。
内部座標は、中心が(0,0)で、Xmax = 400.5/2 = 200.25m、Ymax = 277/2 = 138.5m 、Xmin = -200.25m Ymin = -138.5m です。
したがって、座標範囲は、Xが約±200m、Yが約±138m です。
- GioLine pro:縮尺・用紙サイズの概念がありません(AutoCad系と同じ)
縮尺・用紙サイズの設定は印刷出力時のみに有効です
座標系は、北方向がX軸となる、測量座標系で、XYの座標範囲は約±999kmと広大ですが、座標データの存在する範囲はその一部分です(下図の99kmは999kmの間違いです)。
GioLine pro のデータを jww形式で保存する
- GioLine pro の座標データを Jw_cad の点データとして保存するとき、GioLine pro の座標データをそのまま変換すると、Jw_cad の作図範囲から外れてしまい、ファイルを開いても何も表示されない可能性があります。
例えば、A1に1/500で作図すると、座標範囲は、Xが約±200m、Yが±138m ですから、測量座標のX=200(>138),Y=250(>200)の点は用紙範囲に収まりません。
そこで、GioLine pro の座標値(Xg,Yg)を平行移動によって変換します。
変換式
Yj = (Xg – Xc)×S
Xj = (Yg – Yc)×S
Xj、Yj:Jw_cad の座標
Xc、Yc:シフト量(GioLine proの座標存在範囲中心座標)
S :縮尺
変換後の座標値でJw_cad の点データとして保存し、Jw_cad で開くと、画面の中心座標は(Yc,Xc)になり、用紙サイズと座標範囲を考慮して縮尺を指定すれば、GioLine pro の座標点が全てJw_cad 上に展開されます。
(Xc,Yc)は、記録簿に記載されています。
展開された点の位置関係(点間距離等)は GioLine pro と同じですが、座標値は座標変換によって変更されていることに注意してください。
jwwの点データを GioLine proに読み込む
- Jw_cad の点の座標は、画面中心を(0,0)とし、点の座標は中心からの相対距離と縮尺で定義されます。
平行移動による座標変換を行わないで GioLine proに読み込むと、GioLine pro のプロット画面の中心が(0,0)になります。相対的な位置関係は変わりませんが、GioLine pro → Jw_cad → GioLine pro と座標データをやりとりすると、最初の座標値には戻りません。
最初の座標値に戻したいときは、Jw_cad保存時に記録簿に記載された「Jw_cadの中心座標値」の値を補正値に入力します。
なお、開発者としては、GioLine pro → Jw_cad へ1回だけデータを送ることは問題ないと思いますが、Jw_cad で作図したデータを再度 GioLine pro に読み込むことは変換誤差が累積するので推奨しません。