座標計算の基礎

編集中  最終更新 2025/02/14  画像は後日追加予定

このページの説明は初歩的な内容です。大半のユーザー様はお読みになる必要はありません
 
座標測量は点の位置(関係)を確定することが目的です(2次元に限った話です)。
GPSを使えば観測点の経緯度から平面直角座標系の座標値を確定することができますが、機材も高額で観測に時間もかかり、GioLine pro のユーザー様には無縁だと思いますので、TS(トータルステーション)で観測した角度と距離による座標計算に限って解説します。

高価なTSやプリズムを使った観測から求点の座標値を計算しますが、TSは精密な分度器と精密な巻き尺(定規)と原理は同じです。
したがって方眼紙の上に分度器と定規で観測点をプロットするアナログ的な作業をPCで座標に変換しているだけです。
なお、多少高価なTSでは放射・逆放射・その他の基本測量計算はTSに内蔵されたプログラムで、測量ソフトを使わなくても座標値が得られます。

放射と逆放射は測量の基本

放射と逆放射は座標計算に必須の知識です。計算の原理は義務教育レベルの数学ですから、できて当然です。
単線路トラバースGioLine proは単線路トラバースにしか対応していません)は開放・閉合・結合が基本ですが、いずれも放射を連続して観測していくだけで、放射計算ができれば難しくはありません。

方向角の求め方

GioLine proST計算で計算できます
方向角は測量座標のX軸(真北:正しい表現ではありません)からの時計回りの夾角です。
下図の線分A-Bの方向角はθa,θb の2種の方向角で表せます。
※ θaをAからの射出方向角θbをAへの射入方向角と呼ぶことがあるようです
θb=θa + 180° ただし θb >=360°のときは θb = θb – 360°

方向角(θa)の計算式
θa = arccos(Lab/Lx)  測量計算では arctan は使いません 
  Lab = √(Lx×Lx + Ly×Ly)
  Lx = Xb – Xa
ただし Lx < 0 の時は  θa = 360°- θa
※ 上記は2点が平面上にある場合であり、球面を考慮する場合は国土地理院の距離と方向角の計算(ST計算)で計算します

方向角による求点座標


器械点Pm(Xm,Ym)からの方向角(θa)と水平距離(L)が分かれば、求点Pp(Xp,Yp)は、
Xp = Xm + L × cos(θa
Yp = Ym + L ×  sin(θa
で計算できますが、天測や ジャイロ トランシットのような特殊な器機を使わない限り真北(厳密な表現ではありません)を直接知る事はできません

放射(法) プログラム、このサイトでは放射トラバースとの誤表記があります

放射(法)では後視点からの夾角を使って求点への方向角を求めますが、器械点・後視点の座標値が既知である必要があります。
そのため、真北は、Pm:器械点(Xm,Ym)とPb:既知点(Xb,Yb)(方向点、後視点、取付点等と呼ばれます)の2点の方向角からPm→Pp の方向角を求めます

 

 

 

距 離

 

観測値は丸められている

 

1秒は意外と小さい

直径100m(半径50m)の円周はπ×100m=3.1415926・・・×100m = 314.1592654・・・mです
360°は 360×60×60 = 1296000秒です
器械点から50m先の1秒は 314.1592654・・・m /1296000 = 0.00024240684m = 0.2424・・・mm です
1秒読みのTSでは 0.2424・・・mm
20秒読みのTSでは 0.2424・・・×20=4.848・・・mm 約5mm
したがって50m先のターゲットを1秒読みのTSで視準したとき、ターゲットから0.24mmずれると±1秒の観測誤差が生じます。
20秒読みのTSでも50m先で許される視準誤差は5mm以下です。
測量を生業とされている方には常識ですが、結合・閉合トラバースに短い辺が含まれると角度の閉合差が大きくなるのは「視準誤差」に影響されるからです。
視準距離が5mの場合、20秒読みのTSでは視準距離50mの1/10の精度で観測する必要があります。5mm/10=0.5mmですから、0.5mmずれていると20秒違ってしまいます。当然ですが、TSが基準点上に正確にセットされていない、ターゲットのピンポールが垂直ではない等で観測角の精度はガタ落ちします。
 逆に逆放射で杭を設置(測設)する場合、20秒読みTSで50m先では、±2.4mm程度の設置誤差が出る可能性があります。
※上記の計算は、微少な tan(θ)≒θ(ラジアン)での近似値です

1mmは意外と大きい

 

地球は球体

 

球の曲率は意外と大きい

 

番外 水準測量 厳密には難しい

 

エベレストの標高

 

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